2010 Fiscal Year Annual Research Report
バイオナノ粒子を応用した膜応力制御MEMS型空間光変調器の開発
Project/Area Number |
21710128
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
熊谷 慎也 豊田工業大学, 工学部, 准教授 (70333888)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / マイクロマシン / ナノバイオ |
Research Abstract |
本研究ではバイオ分子を用いて作られたナノ粒子を利用する金属誘起横方向結晶成長(Metal Induced Lateral Crystallization:MILC)によってMEMS構造材料として使われているSi薄膜の応力状態を制御し(ナノ粒子を吸着した箇所としていない箇所で応力が異なることを利用し)、MEMS型空間光変調器を試作することを目的としている。ナノ粒子の吸着配置技術と薄膜結晶化プロセスとを融合することで、積極的に薄膜の応力状態の設計・制御を行い、デバイスの作製に適用する。 平成22年度は結晶化アニール温度の検討を行い、誘起される引張応力値を200MPaから690MPaに増加させることに成功した。さらに、バイオナノ粒子(Niナノ粒子)のパターニング技術を通して、結晶化領域の位置決めに成功した。2μm角の吸着パターンからφ18mの結晶粒を得た。MEMS構造における結晶化位置の制御は、所望の位置の応力状態を制御する有効な技術といえる。 バイオナノ粒子を用いて結晶化したSi薄膜で、MEMS型空間光変調器(可動型ブレーズ回折格子)を試作した。静電駆動式のトーション型デバイスである。回折格子部は基板電極からリリースされており、回折格子-電極基板間に電圧を印加することで、回折格子部が基板に引き寄せられて回転する。本方式では、回折格子と電極基板のギャップが狭くなるにつれ、静電引力が支配的になり、回折格子が電極基板と接触するpull-inが発生する。ギャップが初期状態の44%よりも小さくなるとpull-inが生じるため、デバイス動作の安定限界が指摘されている。バイオ粒子を用いた結晶化で薄膜トーションバーの引張応力を増大させた結果、デバイスの共振周波数が向上した。さらにpull-inが抑制され、デバイスの安定動作範囲を拡大することに成功した。
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