2009 Fiscal Year Annual Research Report
マルチナノリアクターを用いた高速食品分析システムの構築
Project/Area Number |
21710134
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Research Institution | Kanagawa Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
伊藤 健 Kanagawa Industrial Technology Center, 電子技術部, 主任研究員 (50426350)
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Keywords | ナノ粒子 / 電気化学 / マイクロ流体デバイス |
Research Abstract |
マルチナノリアクターを用いて定量性のある高速・簡便な分析技術を開発し、食品への展開を図ることを目的とした研究を行った。大きな研究課題としては、(1)三次元形状転写技術によるプラスチック製マイクロ流体デバイスの開発、(2)高感度検出のための機能性マイクロ電極の作製とそれを用いた電気化学検出法の確立、(3)連続送液を利用した成分抽出方法の開発の3つである。平成21年度は(1)及び(2)について検討を行う予定であったが、(2)の高感度電極のキャラクタリゼーションに時間がかかり、(1)の内容はプロセス開発に留まり計画通りに進まなかった。しかしながら、パルスレーザー製膜法(PLD)を用いた金属(Pt及びNi)ナノ粒子含有電極の作製技術を検討し、様々な表面分析技術を用いて電極の特性評価を行った結果、期待通りにバルク電極の特性を越える性能があることを見出した。Ni含有電極では、バルク電極に対してグルコースの酸化性能を向上させることに成功した。また、Pt含有電極について透過電子顕微鏡(TEM)を用いて分析した結果、10nm程度の広がりを持つナノ粒子層の島状成長であることが把握できた。また、ナノ粒子層の表面粗さは2nm程度と非常に平坦であることが原子間力顕微鏡(AFM)により確認された。電気化学測定の結果、Pt含有量がバルク電極に比べて1/3程度と少ないにもかかわらず過酸化水素検出ではバルクに対して電位を100mV以上下げることができ、電流値もバルク以上の値を得ることができた。検出限界もバルクに対して1桁以上向上させることに成功した。
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