2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21710142
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長井 拓郎 独立行政法人物質・材料研究機構, 電子顕微鏡クラスター, 主任エンジニア (90531567)
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Keywords | 強磁性ナノワイヤ / 強相関電子系 / トランスバース磁壁 / スピントロニクス / ローレンツ電子顕微鏡法 |
Research Abstract |
強相関電子系ハーフメタル物質であるペロブスカイト型マンガン酸化物La _<1-x>Sr_xMnO_3のナノワイヤをエピタキシャル多層薄膜から作製し、電流印加及び磁場印加による磁壁の制御を試みた。部分的にAuレイヤーを含み、ポリイミド樹脂を表面に堆積させたLa_<0.6>Sr_<0.4>FeO_3/La_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3/La_<0.6>Sr_<0.4>FeO_3/SrTiO_3エピタキシャル薄膜試料についてFIBマイクロサンプリング加工を実施してCu電極付ポリイミド板に固定し、La_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3ナノワイヤを含むTEM断面試料を作製した。この試料を冷却通電ホルダーに取り付け、電流印加その場ローレンツ電顕観察を行ったところ、試料の絶縁破壊が生じる最大印加電圧まで磁壁のコントラストの変化は観察されなかった。また、ワイヤ長手方向に沿って外部磁場の方向を交互に反転させる交流消磁を行うことにより、ピンニングサイトとなるワイヤの特定個所に磁壁のコントラストが形成された。ローレンツ電顕像を用いた強度輸送方程式法による解析の結果、この磁壁は、磁壁内の磁化がワイヤ長手方向とおおよそ直交するトランスバース磁壁であることが明らかになった。交流消磁を繰り返し行うとピンニングサイトを挟む磁区の磁化配置が反転したが、この磁化配置の反転に伴ってトランスバース磁壁のカイラリティが反転することが観察された。この外部磁場を用いた方法によりトランスバース磁壁のカイラリティを制御できることが明らかになった。
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