2010 Fiscal Year Annual Research Report
地域特性を考慮した太陽光発電普及促進事業の普及効果計測
Project/Area Number |
21710144
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 隆史 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 助教 (90466657)
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Keywords | 太陽光発電 / 地域特性 / 環境政策 / 政策研究 / 都市計画・建築計画 |
Research Abstract |
先ず、地方自治体を太陽光発電の普及を促進する主体と想定したとき、以下のことが明らかになった。一つ目は、地域的傾向として、パネル面積当たり太陽光発電量が比較的多い九州地域と、逆に発電量の少ない東北地域において、補助金を実施している自治体は少なかったこと。これは、九州地域では、無理をして補助金施策を実施しなくても太陽光発電の普及が進むことを想定しての傾向、一方の東北地域では、太陽光発電の効率が比較的悪いため補助金は実施しないという傾向といった別々の理由が背景にある。二つ目に、補助金施策は、地方自治体の首長の意向が大きく反映していたこと。これは、首長にとっては好イメージで公約などに掲げやすいこと、一方住民にとっては高額な財購入への補助であるため、補助金実施を申請することが難しいことが挙げられる。 一方、太陽光発電を設置する一般家庭を主体としたとき、地方自治体の補助金の予算枠に対して、どの自治体でも予算枠を埋める申請があったことが明らかとなった。これは、現状で「補助金があれば設置する一般家庭」が、全国に潜在していることを意味する。また、国としての普及補助施策として、2009年11月から「余剰電力買い取り義務化制度」により、10年間固定価格による買い取りを保証し、普及を後押ししている。しかし、手本としたドイツでの制度運用とは異なり、企業や投資家がこぞって導入するほどの保証内容とはなっていない。 以上から、地方自治体による太陽光発電普及促進施策として、九州地域などのように日射量が比較的多く、一般家庭での太陽光発電導入が盛んな自治体では、1件当たりの補助金額を縮小し、より多くの一般家庭での導入を促進すること。東北地域など比較的一般家庭での導入が盛んでない地域では、融資制度を用いて企業による導入を促進すること、が結果からの提言となる。
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