2010 Fiscal Year Annual Research Report
疎行列に帰着される超大規模半正定値行列への並列計算による高速求解の実装
Project/Area Number |
21710148
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 真 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教 (20386824)
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Keywords | 応用数学 / ハイパフォーマンスコンピューティング / 数理最適化 / 並列計算 / 半正定値計画問題 / センサーネットワーク |
Research Abstract |
本研究の対象である半正定値計画問題(Semidefinite Programs,以下SDP)は、線形計画問題の拡張であり、制御理論、組合せ最適化、金融工学、量子理論など幅広い応用がある。しかし、応用が増えるにつれて、解くべきSDPの規模は増加の一途である。本研究では、並列計算SDPソルバーSDPARA(Semidefinite Programming Algorith parallel version)により、実際に大きな問題を解くソフトウェアを提供している。 本年度は、計算時間の多くが集中するSchur補完行列の並列計算について、Schur補完行列が疎になる場合の効率を向上させた。これにより、センサーネットワークなどで解くことができる問題の規模を大きくすることが可能となった。また、量子化学では大きなSDPが発生しやすいが、今年度は超大規模な量子化学のSDPをスパコンを用いて解くことに成功した。これは、Schur補完行列が密となるSDPでは世界でも最大規模であり、また、富士通のプレスリリースでも発表をされている。 また、センサーネットワークなどでは、SDPを用いると精度の高い近似解を生成することが知られているが、それぞれのセンサーがどの範囲に存在するか特定することも重要である。本年度は、SDPの目的関数を改めて設定することで、少ない計算量ながらセンサーの存在範囲を特定する手法を提案した。この手法は多項式最適化問題にも応用することができ、その場合には最適解の存在範囲を見積もることが可能となり、複数の最適解が存在しているかどうかなどの検証に役立つものと考えている。この存在範囲の特定に関するSDPの研究内容も、国際学会で成果発表を行っている。
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