2010 Fiscal Year Annual Research Report
待ち行列モデルと保険リスク評価モデルにおける希少事象確率の理論的評価
Project/Area Number |
21710151
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増山 博之 京都大学, 情報学研究科, 助教 (60378833)
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Keywords | 待ち行列 / 保険リスク評価 / 希少事象確率 / 漸近解析 / GI/G/1型マルコフ連鎖 |
Research Abstract |
本課題は,待ち行列モデルや保険リスク評価モデルにおける「希少事象確率」の理論的評価を目的としている.昨年度は,両モデルの希少事象解析に向け,その数学的な枠組みとなるGI/G/1型マルコフ連鎖の漸近特性について研究を行った.その成果を下記にまとめる. (1)M/G/1型マルコフ連鎖の定常分布の劣指数漸近特性 まず,GI/G/1型マルコフ連鎖の特別な場合であるM/G/1型マルコフ連鎖について調べた.定常分布の劣指数性に関する十分条件はいくつか報告されているが,その中には間違いを含んでいるものがある.研究代表者はそうした先行研究の誤りを正すと共に,より緩い十分条件を示した. (2)GI/G/1型マルコフ連鎖の定常分布の幾何漸近特性 クロネッカーの近似定理を利用し,幾何漸近公式の主項(もっとも減衰が遅い項)が常に正となること示した.この結果は,幾何漸近公式の主項が近似式として意味があることを保証する.さらに,先行研究では考慮されていない条件下での漸近特性を調べ,一定の成果を収めることができた. (3)GI/G/1型マルコフ連鎖に対する重負荷極限 先行研究では,「加法成分の3次モーメントが有限」という仮定のもと,拡散近似の手法により,GI/G/1型マルコフ連鎖の重負荷極限公式を導出している.一方,研究代表者らは,行列解析法と特性関数を用いた手法により,「加法成分の2次モーメントが有限」というより緩い条件下で,同様の重負荷極限公式を導出することに成功した.
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Research Products
(5 results)