2011 Fiscal Year Annual Research Report
待ち行列モデルと保険リスク評価モデルにおける希少事象確率の理論的評価
Project/Area Number |
21710151
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増山 博之 京都大学, 情報学研究科, 助教 (60378833)
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Keywords | 待ち行列 / 保険リスク評価 / 希少事象確率 / 漸近解析 / GI/G/1型マルコフ連鎖 |
Research Abstract |
平成23年度は,研究実施計画の通り以下の3つの項目に取り組んだ. (1)GI/G/1型マルコフ連鎖の定常分布の劣指数漸近解析 (2)GI/G/1型マルコフ連鎖の定常分布の軽裾漸近解析 (3)GI/G/1型マルコフ連鎖の重負荷極限解析 項目(1)については,先行研究の誤りを指摘すると共に,定常分布の劣指数漸近特性が加法成分の増分分布の周期に依存しないことや,非境界での背後状態の遷移が閉じていない場合では,それが閉じている場合と比べて,定常分布の裾減衰が速いことなどがわかった.これらの研究成果をまとめた論文は海外英文誌に投稿中である.さらに,インターネット・トラヒック・モデリングへの応用について国内学会にて発表した. 項目(2)については,加法成分の増分分布が周期的な場合や,その母関数の収束半径が減衰率を決める場合など,先行研究ではあまり考慮されていなかった条件のもとで漸近公式を導出した.さらに,詳細は割愛するが,減衰率の決定に関係する三つの特性量のうち,二つ以上が減衰率に等しく関与する場合についても一定の成果を収めている.これらの研究成果は関連する内容とともに,国内研究集会および国際会議で発表した. 項目(3)については,適切にスケール変換された加法成分の定常分布が重負荷極限において指数分布に収束するという重負荷極限公式を,既存条件よりも緩い「加法成分の増分の2次モーメントが有限である」という条件下で示した.この成果をまとめた論文は海外英文誌に掲載された. 上述の研究成果はいずれも先行研究と比較して漸近公式の適用範囲を拡張しており,より一般的な待ち行列モデルや保険リスク評価モデルへの応用が期待される.
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Research Products
(6 results)