2009 Fiscal Year Annual Research Report
サプライ・チェーンにおける品質問題の連鎖的影響とその対策
Project/Area Number |
21710156
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
竹本 康彦 Prefectural University of Hiroshima, 経営情報学部, 准教授 (70382257)
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Keywords | ニュースベンダーモデル / 不適合品 / ブルウィップ効果 / 発注点方式 / 補充点方式 / ナッシュ均衡 / 書籍流通システム / 再販制度 |
Research Abstract |
・近年では,ビジネス・プロセスの全体最適のために複数企業の連携によってサプライ・チェーンが構築されることは至極一般的である.通常,サプライ・チェーンを構成するメンバ間で生産・物流計画の同期・最適化が図られる.同期・最適化が図られた生産・物流計画の実施段階において,チェーン・メンバに「品質」に関する問題が発生した場合,その問題の影響はそのメンバ自身のみに留まらず,より下流のメンバにその影響を伝播する恐れが考えられる.この流れはブルウィップ効果とは逆の流れであるが,ブルウィップ効果と同じく,メンバ間での危機管理のあり方,対処の方法等の意思決定の違いがその影響の拡散を引き起こす可能性は否定できない.本年度では,シンプルな在庫管理方式である発注点方式と補充点方式による在庫モデルにおいて,不適合品の混入問題について考察し,そのサプライ・チェーン全体に与える影響について考察した.特に,数理モデルを通じて,不適合品の混入がメンバ間に与える影響を解析的に示すことができた. ・近年書籍における返品の多さが問題視されるようになった.書籍の4割が読者の手に届かずに返品されるのが現状である.出版業界では,出版社が価格を拘束する再販制度が存在する代わりに,書店に返品を認める委託取引が一般的である.しかし,返品が自由なため,ずさんな購買計画が横行していたものと考えられる.返品不可の買い切りにする代わりに高い利益率を保証する買切取引の試みが一部施行されたが,普及には至ってない.小学館は2008年11月発売の一部書籍に書店が委託取引と買切取引を併用する新しい取引方式を導入し,返品率の改善をねらっている.本年度では,委託取引と買切取引による併用取引方式における書籍の購入計画問題について検討し,その運用方法について提案した.
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Research Products
(3 results)