2010 Fiscal Year Annual Research Report
サプライ・チェーンにおける品質問題の連鎖的影響とその対策
Project/Area Number |
21710156
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
竹本 康彦 県立広島大学, 経営情報学部, 准教授 (70382257)
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Keywords | 不適合品 / 契約手法 / ゲーム理論 / 書籍流通システム / 委託販売制度 / 責任販売制度 / インセンティブ両立条件 / ナッシュ交渉解 |
Research Abstract |
不適合品の混入による在庫政策における損失とその補償 供給業者での生産や検査の不備,また輸送中の破損等から,小売業者に納入される補充品に不適合品が含まれることは必ずしも否定できない.これまでに不適合品の混入を想定した在庫問題に関していくつかの研究が考察されている.本テーマでは,昨年度の成果をふまえ,供給業者-小売業者の2者間で構築されるサプライ・チェーンにおいて,不適合品の混入により小売業者が被る損失と小売業者での在庫政策への影響について考察した.このとき,不適合品の混入による損失に関する考察とあわせて,契約手法に基づく損失に対する補償にまで考察を展開した.この結果として,契約条件を適正に定めるプロセスをゲーム理論に基づき与える方法を提案した. 書籍流通システムにおける契約手法による最適化 ここ数年,書籍における返品の多さが問題視されるようになった.書籍の4割が読者の手に届かずに返品されるのが現状である。出版業界では,出版社が価格を拘束する再販制度が存在する代わりに,書店に返品を認める委託販売制度が一般的である.しかし,返品が自由なため,ずさんな購買計画が横行していたものと考えられる.最近,委託販売制度に代わって,高い利益率を保証する反面,買い戻し価格を値引きする責任販売制を導入する動きが新聞等において報道された.書店-出版社間において構築される買い戻しの契約において,買い戻し価格は出版社のサービスを表す重要なパラメータである.本年度の研究では,買い戻し契約におけるパラメータの設定方法について考察した.この結果として,現状の委託販売制度から責任販売制度に移行する際に,両者がそのインセンティブを失わない契約パラメータの設定方法を提案した.
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Research Products
(4 results)