2011 Fiscal Year Annual Research Report
サプライ・チェーンにおける品質問題の連鎖的影響とその対策
Project/Area Number |
21710156
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
竹本 康彦 県立広島大学, 経営情報学部, 准教授 (70382257)
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Keywords | 在庫管理 / 発注点方式 / 品切リスク / ゲーム理論 / 書籍流通システム / 再販制度 / 委託販売制度 / 責任販売制度 |
Research Abstract |
限定された需要情報のもとで許容欠品率を保証する発注点の決定方法に関する一考察 現在多くの企業で採用されている在庫管理方式に一つに,発注点方式がある.発注点方式は,在庫が前もって定められた発注点より少なくなると発注する方式である.従来の発注点の決定においては,需要あるいは予測誤差の分布として正規分布を仮定している.ただし,いずれの場合においてもこれが適切であるとは限らない.特に,需要予測の精度が悪い場合には,その予測誤差が正規分布に従うかどうかは疑わしい面がある.本研究では,正規分布の仮定を定めることなく,指定される品切確率を保証する発注点について考察した,具体的に,平均や標準偏差等の限られた需要情報の制約の下で品切確率の上限値を保証する発注点の決定方法を提案した. 書籍流通システムにおける契約手法に関する研究 近年書籍の返品率は4割前後にも及び,返品の多さが問題視されるようになった.出版業界では,出版社が価格を拘束する再販制度と書店に卸売価格に基づく返品を認める委託販売制度による取引が一般的である.一方,書店に高い利益率を保証するが書店が返品する場合に卸売価格の数割程度でしか買い戻さない責任販売制度による取引が最近取り入れられている.書店の利益率は書店での販売価格と卸売価格との差により決定され,また出版社の利益率は卸売価格と返品に対する買い戻し価格に依存する.従って,書店での販売価格に対する卸売価格率と買い戻し価格率はこの取引において重要なパラメータを意味する.本研究では,書店・出版社の2者間での取引を契約問題として定式化し,卸売価格率と買い戻し価格率の決定方法について考察した.結果として,ゲーム理論における均衡の概念を用いることで,現状の委託販売制度から責任販売制度に移行可能である,合理的でかつ協調的な意思決定に基づく卸売価格率と買い戻し価格率の組合せを一意に示すことができた.
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