2009 Fiscal Year Annual Research Report
ロングテール市場における戦略的意思決定のためのモデル開発とその解析
Project/Area Number |
21710158
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松林 伸生 Keio University, 理工学部, 講師 (00385519)
|
Keywords | ゲーム理論 / マーケティング / サプライチェーンマネージメント / 製品戦略 / 提携戦略 / 流通戦略 / 広告戦略 |
Research Abstract |
交付初年度である本年度は研究実施計画に基づき、マーケティング戦略に関する戦略的意思決定モデルの開発とその理論的解析を行った。具体的には、製品/ブランド統合を考慮した企業間の合併戦略、競合を考慮した短期での多店舗出店戦略、オンライン店舗による実店舗からのフリーライド問題を考慮した情報公開戦略、競争下でのマス広告とターゲティング広告との組み合わせ戦略、の4つの問題について、ゲーム理論を用いてその理論化を行い、基礎的な分析を行った。その結果、(1)市場内の企業数が多い場合ほど製品統合を伴う合併は有利である。(2)先手企業の資金が潤沢な時に限り多店舗集中出店は有効である。(3)ニッチな製品に限ってオンライン企業による情報公開は有効である。(4)価格競争が存在しないときに限ってマス広告の併用は有効。という重要な知見を得ることができた。今回扱った分野に関する先行研究はもちろん多数存在するが、それらはいずれも少品種大量生産という従来型の市場を前提とした理論ぼかりであり、今回対象とした製品/ブランド統合、多店舗出店、オンライン販売、ターゲティング広告といったロングテール市場特有のキーワードを含んではいない。本研究でこれらを対象とした戦略的意思決定を新たに、ゲーム理論を用いてモデル化したことにより、ロングテール市場における戦略的意思決定に関する科学的な議論の促進に貢献できたと考えられる。 なお以上の結果は、既に海外論文誌(Economics Bulletin)に掲載されており、さらに3本の論文が現在審査中という状況である。
|