2011 Fiscal Year Annual Research Report
ロングテール市場における戦略的意思決定のためのモデル開発とその解析
Project/Area Number |
21710158
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松林 伸生 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (00385519)
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Keywords | ゲーム理論 / サプライチェーン / マーケティング / 負の外部性 / 製品ラインナップ / 提携戦略 / 流通戦略 / 出店戦略 |
Research Abstract |
本研究課題の最終年度となる本年度は、研究実施計画に基づき、前年度から継続してマーケティング戦略、サプライチェーン戦略に関する意思決定モデルの開発と理論的解析を発展させ、ロングテール市場における戦略的意思決定に供する確たる科学的知見を得ることを目的として研究を行った。具体的にはまず、マーケティング戦略については、まず製品数が膨大になることに伴う負の外部性を考慮した上での、多期間に渡る価格戦略とTwo-sidedmarketにおける価格戦略について示唆を得ることができた。またさらに、競争下での多店舗出店(ないしは多品目提供)のモデルを定式化し均衡分析を行い、戦略上及び厚生上の効果について結果を得ることができた。一方でサプライチェーン戦略については、ロングテール市場を前提としたオンライン店舗とリアル店舗との競争について、戦略的示唆と厚生上の効果について結果を得ることができた。さらにプライベートブランドに象徴されるリテーラー側が先手となって意思決定を行うモデルについても構築し、基礎的な分析を行った。全ての研究に共通する大きな知見として、製品数の増大は消費者の混乱を煽りつつも、企業間の価格競争を緩和させるという正の効果を持つことが分かった。最後に、これらの成果の一部をある国内電子部品メーカーに提案し、実務上の貢献可能性について議論を行った。以上より、ロングテール市場におけるサプライチェーンに関する戦略的意思決定について、科学的な議論の促進に貢献できたと考えられる。 なお本研究の本年度の成果物としては下記に示すように、既に1本の論文が海外論文誌(査読付)に掲載されており、また学会発表を5件行った。発表を行ったいくつかの成果についても、既に論文にまとめて投稿し、現在審査中という状況である。
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