Research Abstract |
本研究では,列車運転における駅停止時のオーバーラン抑制をねらいとして,列車運転士に対する運転支援システムについて,列車運転を模擬した運転シミュレータを用いた実験により検討した.現在の車両の速度と減速度から,予想される停止位置を算出し,シミュレータの模擬映像上に予想停止位置を呈示する運転支援システムをシミュレータ内に構築した.昨年度までは,現在の減速度を維持すると目標停止位置の手前で止まる場合には予想停止位置を緑色で呈示し,目標停止位置を越える場合には赤色で呈示していた。予想停止位置の計算は,等加速度運動を仮定していたが,実際の列車運転においては,乗客の乗り心地等の関係から,目標停止位置に近づくにつれて,ブレーキ操作を徐々に緩めることが一般的である.そこで,予想停止位置の算出方法はそのままで,減速度が一定で減少する条件を考慮して,従来緑色で表示された領域の中で,目標停止位置の手前で止まれるものの減速度が緩められない領域を黄色で呈示するシステムについて検討した. 実験では,実際の運転経験はないものの,運転シミュレータの運転になれた被験者を採用し,通常状態ではオーバーランが発生しにくいことから,心的な負荷として,列車運転中に暗算課題を行うものとした,運転支援システムの有無により,ブレーキ操作に及ぼす影響を検討した結果,運転支援システムがない場合には,ブレーキ操作の修正が確認されたが,システムを用いることによりブレーキ操作が円滑になることを確認した.これらのことから,列車運転士に対して心的な負荷が作用するような状況下でも,本研究で提案した運転支援システムを用いることで,通常の状態と同様に徐々にブレーキ操作を弱めながら,所定の位置に停止することが可能となった.
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