2009 Fiscal Year Annual Research Report
近畿三角地帯における近世の地震被害と人々の対応に関する史的研究
Project/Area Number |
21710181
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
東 幸代 The University of Shiga Prefecture, 人間文化学部, 准教授 (10315921)
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Keywords | 地震被害 / 歴史地震 / 近畿三角地帯 / 日本近世 |
Research Abstract |
今年度(初年度)は、近畿三角地帯の北辺(福井県・京都府・滋賀県)の歴史地震について検討した。まず、『新収日本地震史料』掲載史料からDBを作成した。次に、作成したDBに、既刊自治体史の情報を追加した。さらに、3府県に史料調査に赴いた。調査対象とした史料の中心は、信頼度の高い日記史料であり、地震の詳細の把握につとめた。調査の結果、早くから記載が見られる京都は例外として、福井・滋賀では、19世紀になると意識的に地震記述を行う日記が見られるようになり、予想以上の頻度で有感地震が発生していることが明らかになった。 また、日記から、3府県における地震発生後の民衆の行動には同一のパターンがあることが指摘できる。(1)地震発生の際、即座に戸外に飛び出す。(2)地震後、広場や路上に戸板や畳を敷き、仮小屋で避難生活を送る。(3)避難生活中は、流言に惑わされながら、朝廷の力や神仏や占いにすがって地震の収束を待つ、という3点である。さらに、19世紀になると、庶民の日記にも、地震発生理由の考察や教訓が記されることが確認できる。地域的特徴として顕著なものは、福井の地震津波関係の考察である。また、村落部では、教訓の登場が都市部に遅れる。福井と滋賀では、大地震が少ない地であるという迷信的な慢心も垣間見えた。 日記以外の新規採集史料は、1819年近江地震のものが多かったが、謎の多いこの地震の震源の検討等は継続中である。本地震で甚大な被害があった愛知県・岐阜県が次年度の研究対象地であるので、併せて検討する必要があろう。 本研究で得られた知見は、滋賀における市民向けの講演会で披露した。また、京都で実施した市民向け古文書講座のテキストとして地震関係史料を用い、解説として成果を披露した。
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Research Products
(1 results)