2010 Fiscal Year Annual Research Report
DEMと空中電磁法を用いた地すべり危険箇所抽出手法の開発に関する研究
Project/Area Number |
21710186
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
野々村 敦子 香川大学, 工学部, 准教授 (60363181)
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Keywords | 風化土層 / 空中電磁探査 / 比抵抗 / 地すべり地形 |
Research Abstract |
斜面災害の中でも,分化型の地すべりについては,河道閉塞や道路の寸断などの主な要因の1つであるが,危険箇所を抽出する客観的手法は確立されているとは言えない。そこで本研究では,分化型地すべり地形が多数分布している地域の一つである,徳島県三好市馬路地区徳島道沿い斜面において,航空レーザー測量により得られたDEMと空中電磁法により得られた比抵抗データを用いて,地盤の緩みを推定する手法を検討した。分化型地すべり地形は,航空レーザー測量のデータを可視化することで明瞭に判読することができるが,それぞれの箇所がどの程度緩んでいるのかを地形から評価することができない。地盤の比抵抗データには,地すべりの素因とは直接的に関係のある情報だけではなく,岩石の種類や粘土鉱物の種類など直接関係のない情報も含まれているため,単純に比抵抗の値だけで緩み箇所を推定することはできない。比抵抗データから地盤の緩みの情報をいかに抽出するかが重要である。比抵抗値は,砂岩で高く,粘板岩で低いという傾向があるなど,岩盤の種類によっても変化する。本研究では,同じ種類の岩盤が分布する箇所における比抵抗値の違いには,緩みの程度の影響が反映されているのではないか,という考えのもと,比抵抗値の空間分布データを処理するフィルターを検討した。一般的に定型サイズのフィルターが使用されるが,さまざまなスケールで分布を捉える場合の使用は適切ではない。そこで本研究では,視野を考慮して地形の起伏を評価する凹凸度の考え方を比抵抗分布に適用し,比抵抗分布パターンを定量化することを試みた。斜面に沿って縦断方向に引いた測線上で5-30mの深さの比抵抗分布データから算定した凹凸度と地形形状とを比較した。頭部斜面に近い谷壁斜面で比抵抗値の凹凸度変換点が見られる斜面が多数見られ,風化土層厚の変化点と対応していると考えられる。
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