2009 Fiscal Year Annual Research Report
災害現場における臨時ネットワークを簡易構築するシステムの開発
Project/Area Number |
21710188
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
植村 渉 Ryukoku University, 理工学部, 助教 (30434723)
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Keywords | 自然災害 / 情報通信工学 / 非常時通信 / アドホックネットワーク |
Research Abstract |
地震などの災害現場では,救助者による現場情報の共有化が必要である.しかし現場では,既存のインフラは破壊された状態である.よって情報の共有化のために,新しいネットワークの早急な構築が求められる. 初年度である平成21年度は調査に重点をおき,各種研究会に参加し,災害支援ツールに必要な条件を調査した.また,災害救助支援ツール作成の基盤として,情報共有のためのネットワークシステムを実装した.具体的には,通常のアドホック無線ネットワークのルーティングプロトコルでは,OSI参照モデルに基づいて各層は他の層に影響を与えないように設計されるのであるが,ここではルーティング層と上位のアプリケーション層を同時に扱うことで,効率の良いネットワークの利用を目指した.アプリケーション側でネットワーク全体に配信したい情報を,ルーティング層でのブロードキャストパケットに付加して,一斉配信を行う.このネットワークシステムでは,無線端末として情報配信端末と情報受信端末を用い,情報配信端末が全体に対して情報配信を行い,その配信情報を受け取った両端末は,その配信情報を転送し続けることでネットワーク全体に対して情報配信を行うことができる.このネットワークを利用して,災害現場におけるトリアージ情報の共有システムを構築した.すなわち,トリアージを行う医師群が情報配信端末を持ち,傷病者へのトリアージ情報を端末に入力すると,ネットワーク全体にその情報が伝達され,情報受信端末を持つレスキュー隊はその情報をみて,どの傷病者を搬送しなければならないかを知ることができるシステムである.今後は,ネットワークの自動構築部分と,トリアージ情報以外の情報共有システム部分の構築を進める予定である.
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