2009 Fiscal Year Annual Research Report
十勝沖地震の事前検知能力の検証と対策:観測データとシミュレーションとのデータ同化
Project/Area Number |
21710189
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
有吉 慶介 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地震津波・防災研究プロジェクト, 特任技術研究副主任 (20436075)
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Keywords | 自然災害 / 予測・分析・対策 / 海溝型巨大地震 |
Research Abstract |
十勝沖~三陸沖にわたる日本海溝について,3次元沈み込みプレート境界モデルを構築した.折れ曲がりの影響を調べるために,まずは沈み込み方向のみに折り曲げを許し,構造探査結果を参考にして,プレートの傾斜角度が5~20度で緩やかに変化するように,スプライン補間で数値モデル化を行ったところ,安定したかたちで高速計算を行うことができるようになった。 観測データと数値シミュレーションとの結果を定量的に比較するために,2003年十勝沖地震発生から2日後に三陸沖の海底孔内観測で捉えられた傾斜計変化について,数値シミュレーションと比較したところ,観測された1μradianの変化量は,数値シミュレーションで期待される値と一致したことから,この変化は十勝沖地震の余効すべりが高速伝播した可能性がある。 今後は伝播速度まで含めたかたちで定量的な合わせこみを行うとともに,半無限均質媒質を仮定したモデルに対して,地形効果による有効法線応力の影響を取り入れることや,法線応力の時間変化を導入することが課題である。 また,巨大地震に伴う前駆すべりを検知するための新たな手法の開発として,低周波微動と巨大地震との関連性を調べた.その結果,低周波微動の再来間隔・モーメントレート・伝播速度が変化することが数値シミュレーションから示された.これらの結果は,十勝沖地震後に一時的に活発になった,浅部低周波地震への応用が期待されるものである。 以上の結果を国内外の学会で発表し,速報的な内容として論文にまとめた。
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