2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNAメチル化を介したセンス・アンチセンスRNA発現制御機構の解析
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21710196
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
柴 博史 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (20294283)
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Keywords | DNAメチル化 / aberrant RNA / メチローム / ゲノムタイリングアレイ / 次世代シークエンサー |
Research Abstract |
DNAメチル化は、エピジェネティックな遺伝子発現抑制機構の主原因として動植物を問わず広く知られているが、これまで遺伝子発現との関連が指摘されているメチル化の多くは、5'プロモーター領域周辺に限局しているものや、セントロメア周辺領域のようにリピート配列全体にわたって高頻度に分布している事例であり、遺伝子コード領域内に存在するDNAメチル化(bodyメチル化)の遺伝子発現への関与は不明である。本研究では、シロイヌナズナゲノムタイリングアレイと次世代シークエンサーを使って発生、分化に関わるDNAメチル化と遺伝子発現を網羅的かつ包括的に解析することで、植物におけるbodyメチル化の役割・機構を明らかにする。 平成22年度は、花序組織におけるsmall RNAを次世代シークエンサーで解析したところ、10029遺伝子に対してセンス方向、7739遺伝子に対してアンチセンス方向に転写されているsmallRNAが存在した。そこで平成21年度に調べた花序特異的なbodyメチル化に連動して遺伝子発現の変動が見られた1遺伝子におけるメチル化部位とsmall RNA配列との関連を調べたところ、メチル化部位と一致する配列が見つかった。当該遺伝子は、隣接するレトロトランスポゾン配列に花序特異的なbodyメチル化が見られることで、その遺伝子の発現が見られる一方、維持型DNAメチル化酵素欠損株であるmetl変異株の花序では、レトロトランスポゾンのメチル化が見られず、当該遺伝子の発現も見られない。当該配列は、葯組織で発現している一方、実生組織由来のsmall RNAライブラリーからは検出されなかったことから、上記花序特異的なレトロトランスポゾンのbodyメチル化は、葯で発現するsmll RNAによって引き起こされている可能性が考えられた。
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