2009 Fiscal Year Annual Research Report
人工オペロン創製に向けたオペロン構築原理に関する研究
Project/Area Number |
21710203
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柘植 謙爾 Keio University, 政策・メディア研究科, 講師 (70399690)
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Keywords | 遺伝子集積 / オペロン / 解糖系 / 枯草菌 / 大腸菌 |
Research Abstract |
様々な生物由来の遺伝子1個のレベルからつなぎ合わせて生物を作る「ゲノムデザイン」の実現には、人工的にオペロンを作るためにはどうしたらよいかという「オペロン構築原理」の解明は不可欠である。本研究では、大腸菌の解糖系に関わる10個の遺伝子を材料として、人工解糖系オペロンを構築することで、「オペロン構築原理」の解明を試みた。先ずこれらの遺伝子の断片を調製し、枯草菌の遺伝子集積法であるOGAB法により、人工オペロンをプラスミド中に構築した。この人工解糖系オペロンプラスミドの性能評価のためには、宿主となる大腸菌自身の解糖系の全遺伝子を欠損した株が必要となるが、作成した人工解糖系オペロンプラスミドを大腸菌に導入した状態で、宿主ゲノム中の本来の解糖系10遺伝子を全部削除することにより、解糖系遺伝子欠損株の構築に成功した。 10遺伝子のオペロン内の遺伝子順序は、10!(=363万)通りの並びが可能であるが、このうち、野生型の大腸菌における遺伝子発現量の多い順番で遺伝子を連結した「mRNA量順」オペロンなどの100種類のオペロンを任意に選択して構築し、前述の解糖系遺伝子欠損株に導入してグルコース培地での増殖速度を指標に評価した。その結果、オペロン内の遺伝子の連結順序により増殖スピードが大幅に変化したが、特に、「mRNA量順」が最も増殖スピードが速いことを見出した。オペロン内のmRNAの分布をRT-PCR法を用いて調べたところ、遺伝子の連結順序に関係なく、プロモーターからmRNA存在量が減少してゆくという単調減少の傾向が確認された。これは、オペロン内のどの位置にどの遺伝子が存在するかによって各遺伝子発現量のバランスが変化するということを意味している。よって、各遺伝子の必要とされる発現量に基づいた遺伝子配列、即ちオペロン内の遺伝子の連結順序が人工オペロン内の構築に重要であることを示した。
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Research Products
(4 results)