2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイ解析の再現性・感度・特異度を飛躍的に向上させるデータ解析手法の開発
Project/Area Number |
21710208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門田 幸二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助教 (60392221)
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Keywords | マイクロアレイ / バイオインフォマティクス / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究では、マイクロアレイ解析において、特に発現変動遺伝子検出を再現性・感度・特異度高く行うための手法の開発およびガイドラインの策定を目的として研究を行った。平成22年度は、平成21年度の成果である「最もよく用いられているAffymetrix社製のマイクロアレイデータ解析を高精度に行うための門田ガイドライン(Kadota et al., Algorithms Mol. Biol., 2009)」がその他のメーカー製のデータ解析にも有効であるかどうかの解析を中心に行った。結果は以下の三点であり、まとめた論文を現在投稿中である。 1:ガイドライン策定時と同様の評価を、Affymetrix社製以外データに対して行った結果、門田ガイドライン「(1)感度・特異度の高い方法は、研究代表者が開発した発現変動遺伝子ランキング法WAD(Kadota et al., Algorithms Mol. Biol., 2008)またはRank products(Breitling et al., FEBS Lett., 2004)、(2)再現性の高い方法はWAD」と同様の結果を得た。 2:これまでの本研究における再現性の評価は、発現変動遺伝子のランキングの頑健性に関するものであったが、「たとえ低次の発現変動遺伝子レベルで再現性がなくても、Gene Ontology解析やPathway解析といった高次の機能解析レベルで再現性があればそれで十分ではないだろうか(Li et al., BMC Bioinformatics, 2009)」と主張する論文が公表されたため、特定のGene OntologyやPathwayに属する様々な遺伝子セットに基づく機能解析も行い、「推奨手法であるWADは、発現変動遺伝子レベルだけでなく高次の機能解析レベルでも再現性が高い」という結論を得た。 3:今年度行った解析は、米国FDA主導のマイクロアレイ品質管理(MAQC)プロジェクトの複数の主要なメーカーについて測定した同一ロットサンプルの公開データであるため、結論2の「メーカー内の再現性」だけでなく「メーカー間の再現性が最も高いランキング法」についての解析も行うことができた。結果として、この点についてもWADが特に優れていることを確認した。
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