2010 Fiscal Year Annual Research Report
大規模5'端配列を用いた転写制御の解明及びデータベースの構築
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21710210
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 理宇 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (10401259)
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Keywords | DBTSS / 次世代シークエンサー / 大規模データ / 転写制御 / データベース / 転写開始点 / 比較ゲノム / トランスクリプトーム |
Research Abstract |
本研究では、大規模シークエンサー(SOLEXA)由来の5'端EST配列を用いて、転写開始点データベースDBTSSのさらなる拡張とそれを利用したヒトの転写制御情報の網羅的解析を目的としている。平成22年度は前年度に構築したデータ処理のパイプラインを利用して、DBTSSに細胞・組織・実験条件の異なる31種類のサンプルから得られた5'端配列を合計約3億追加した。さらに、細胞種や実験ごとに転写開始点が比較できるようなviewerを構築した。加えて、既知遺伝子だけでなく、miRNA等のnon-coding RNAの転写開始点・プロモータ配列の検索も出来るような機能を追加した。(Yamashita et al 2010)さらに、DBTSSに登録された転写開始点の情報を元に、各組織で選択的プロモータを同定したそしてその選択的プロモータに関して、RNA polymerase, ヒストン修飾のChlP-seq情報、MNaseIによるヌクレオソーム情報、ポリソーム分画によるRNA-seq情報などと比較を行った。この結果、転写開始点付近に特徴的なヌクレオソーム構造、ヒストンのH3K4me3修飾・RNA polymeraseの集積が観察された。また、ある組織で発現が見られないが別の組織での発現が認められる転写開始点では、RNA polymeraseが有意に存在していることがわかった。これら傾向は一つの遺伝子にいくつかの選択的プロモータがある場合、発現量が最も高いプロモータ(alternative promoter 1)とその次に高いプロモータ(alternative promoter 2)でも同様に観察された。また、発現量の高い遺伝子のうち80%近くがポリソームでのmRNAの存在が確認され、ほとんどの遺伝子が翻訳されている可能性を示唆していた(Sathira et al 2010,Yamashita et al 2011)。しかしながら、一部のmRNAでは転写されているのにもかかわらず、ポリソームへの移行が見られない物が観察された。これらに関してはmRNAからタンパク質に向かう部分での翻訳制御が起きていると考えられ、今後その制御機構について解析を進めていきたい。
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