2010 Fiscal Year Annual Research Report
HIVプロテアーゼ阻害活性天然物の全合成と部分構造ライブラリーの作製
Project/Area Number |
21710216
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
不破 春彦 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (90359638)
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Keywords | 天然物 / 全合成 / 構造活性相関 / 鈴木-宮浦反応 / 野崎-檜山-岸反応 / スピロアセタール / HIVプロテアーゼ |
Research Abstract |
HIVプロテアーゼは、ウイルスの増殖に必要なタンパク質の生産を担う蛋白分解酵素であることから、この酵素機能の阻害によりHIVの増殖を強力に抑制できると知られている。本研究では、特異な作用機序でHIVプロテアーゼを阻害する海洋天然物ディデムナケタールおよびその部分構造の合成研究を行った。まず、ディデムナケタールBのC1-C11鎖状部分構造を合成した。市販のトリチル(R)-グリシジルエーテルを出発原料とし、三段階の変換で得た5員環ラクトンの立体選択的メチル化でC10位の不斉中心を構築した後、Evans syn-アルドール反応によりC6およびC7位の立体化学を制御した。さらにBrown不斉アリル化反応によりC5位の不斉中心を制御しながら炭素鎖を伸長した。その後の数段階の変換により、C1-C11鎖状部分構造を合成した。一方、C9-C28スピロアセタール部分構造の合成においては、市販の(S)-および(R)-RocheエステルをC10およびC14位の不斉炭素原子を含む出発原料として活用した。Julia-Kocienski反応でC9-C15炭素鎖を構築した後、Sharpless不斉ジヒドロキシ化反応によりC11,C12位の立体化学を制御した。その後C9-C15アルキルボレートへと変換し、別途調製したC16-C21エノールホスフェートと鈴木-宮浦反応を行い、C9-C21炭素鎖を揃えた。続いて、ヒドロキシエノールエーテルを熱力学的条件下で酸処理し、スピロアセタール化を行った。最後にC22-C28ビニルヨウ素体と野崎-檜山-岸反応を行なって側鎖を伸長し、C9-C28スピロアセタール部分構造の合成を達成した。本研究により、ディデムナケタールおよびその構造類縁体の実践的な合成が可能になり、新規HIVプロテアーゼ阻害活性化合物の創出につながるものと期待される。
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Research Products
(2 results)