2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNA内メチルシトシン塩基の光酸化反応機構の解明と新規DNAメチル化検出系の探索
Project/Area Number |
21710228
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 久嗣 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (80512764)
|
Keywords | 機能性核酸 / 光増感反応 / 5-メチルシトシン / DNAメチル化 / DNA内電荷移動 / 重水素同位体効果 |
Research Abstract |
本申請研究では、DNA中のメチル化シトシン(mC)塩基の光酸化反応機構を明らかにするとともに、メチル化シトシン塩茎の光酸化損傷とDNA媒介正孔(ホール)移動反応の相関を検証し、DNA中のメチル化を高効率かつ高選択的に検出する新しい光機能分子システムを設計することを目的としている。本年度は、高効率な光酸化反応系の設計を目指して、DNA中のmC塩基を選択的に酸化する最適な光増感剤を探索した。光増感剤としてアントラキノン(AQ)誘導体を選択し、DNA鎖内中央部にAQを導入したオリゴDNAを新規に合成した。mC塩基を含む標的オリゴDNAとの二重鎖上における光反応を調べた結果、励起AQの光増感作用により標的mC部位において効率良くかつ選択的にDNA鎖切断反応が進行することを見出した。続いて、mC塩基の光一電子酸化反応機構、特にmCラジカルカチオン中間体から最終生成物に至る反応機構を明らかにするため、メチルシトシン塩基部C(5)位水素を重水素置換したmC誘導体を合成して、光酸化反応に及ぼす重水素同位体効果を生成物分析により評価した。5'および3'水酸基をシリル基で保護した2'-デオキシウリジンを出発物質とし、4段階を経てC(5)位を重水素置換した5-メチル-d3-2'-デオキシシチジン(d3-dmC)を新規に合成した。AQ光増感剤の共存下、dmCまたはd3-dmCを含む水溶液に紫外光(312nm)を所定時間照射し、反応溶液をHPLCで分析したところ、C(5)位の重水素化によってホルミル酸化体の生成が大きく抑制され、重水素同位体効果が認められた。一方、照射時間に対する基質分解量の変化からdmCおよびd3-dmCの光反応性を比較した結果、分解効率に及ぼす重水素同位体効果は極めて小さいことがわかった。
|
Research Products
(6 results)