2010 Fiscal Year Annual Research Report
合成化学的手法を用いた抗HIV活性物質シンビオジノライドの構造決定
Project/Area Number |
21710231
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高村 浩由 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (70422798)
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Keywords | 海洋天然物 / ポリオール / シンビオジノライド / 合成化学 / 構造決定 / 抗HIV活性 |
Research Abstract |
近年、強力な生物活性を有する海洋天然物の単離・構造決定が数多く報告されている。その中でも、高度に酸素官能基化された長い炭素鎖を有するポリオール天然物は海洋天然物特有の化合物群である。本化合物群は、複雑な構造と多様で強力な生物活性を有することから、有機合成化学・薬理学・分子生物学などの多くの研究分野から注目を集めている。本研究では分子量2,860を有するポリオール海洋天然物シンビオジノライドの構造解明を目的とした合成研究を行っており、平成22年度の研究成果を以下に述べる。 1.C14-C24フラグメントの合成と構造決定 前年度までの研究により、C14-C24フラグメントに相当する分解生成物を得ることができている。今年度は本フラグメントの化学合成について検討を行った。その結果、シス-2-ブテン-1,4-ジオールを出発物質として、C18位に関する2つの立体異性体をそれぞれ立体選択的に合成することができた。2つの合成化合物と分解生成物との詳細なスペクトルデータの比較を行うことで、本フラグメントの立体構造を決定することができた。 2.C79-C97フラグメントの合成 酸触媒による立体選択的スピロアセタール化を鍵反応に用いることで、C79-C93部位を短段階かつ効率的に合成した。さらに、Julia-Kocienskiカップリングおよび立体選択的ジヒドロキシル化を行うことで、推定立体構造を有するC79-C97フラグメントの合成を完了した。今後は、本フラグメントの各種立体異性体の合成および構造解明を進める予定である。 3.C94-C104フラグメントの合成 Achmatowicz反応を鍵反応に用いることで、テトラヒドロピラン部位を立体選択的に構築した。さらに、ジチアンとアルデヒドとのカップリング反応を行うことで、推定立体構造を有するC79-C97フラグメントを立体選択的に合成した。今後は、本フラグメントの各種立体異性体の合成および構造解明を進める予定である。
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Research Products
(7 results)