2009 Fiscal Year Annual Research Report
III型ポリケタイド合成酵素のX線結晶構造解析を基盤とする触媒機能の制御
Project/Area Number |
21710235
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 洋行 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (20416663)
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Keywords | ポリフェノール / ポリケタイド合成酵素 / ベンザルアセトン / カルコン |
Research Abstract |
1.ダイオウ由来ベンザルアセトン合成酵素(BAS)野生型及びカルコン合成能を獲得したBAS I214L/L215F変異型両酵素のX線結晶構造解析に1.8Åの分解能で成功し、さらに野生型については,活性中心Cys残基に酵素反応中間体であるクマロイル基がチオエステル結合した複合体結晶構造解析に1.6Åの分解能で成功した。PKSの活性中心に中間体が共有結合した立体構造はこれが最初である。またBASの結晶構造解析では、触媒残基Cys-His-Asn近傍に求核的水分子となり得る水分子の存在を新たに見いだし、結晶構造解析に基づいたBASの触媒機構仮説を報告した。多段階反応を触媒するIII型ポリケタイド合成酵素(PKS)の酵素反応機構の解明及び酵素触媒機能を拡張していくうえで重要な知見であると言える。2.トウゲシバ由来PKS1のアポ型及びCoA-SHとの複合体結晶構造解析に2.0Åと2.2Åの分解能で成功した。一方,カルバモイル基を有する安息香酸やピコリン酸とのCoAエステルをマロニルCoAとともにPKSIに作用させると、6-5-6縮合環構造を有する3環性非天然型新規アルカロイドを生成することを見いだした。いずれの場合も、開始基質に2分子のマロニルを縮合の後、シッフ塩基の形成を介して、酵素的にC-N結合形成と閉環反応が2回進行して生成したものと考えられる。窒素原子を適切な位置に配置した開始基質を用いることにより、より複雑な骨格を有する非天然型アルカロイド骨格を創出できる可能性を示す結果であり、さらなる酵素反応機構の解明と酵素触媒機能の拡張および非天然型アルカロイドの創出に取り組んでいきたい。
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