2010 Fiscal Year Annual Research Report
III型ポリケタイド合成酵素のX線結晶構造解析を基盤とする触媒機能の制御
Project/Area Number |
21710235
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 洋行 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (20416663)
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Keywords | ポリフェノール / ポリケタイド合成酵素 / ベンザルアセトン / カルコン |
Research Abstract |
ダイオウ由来ベンザルアセトン合成酵素(BAS)に、L-型あるいはD-型のフェニルアラニンおよびトリプトファンとのCoAエステルをプローブとして作用さると、いずれにおいてもアミノアシルCoAに1分子のマロニルCoAを縮合の後、分子内ラクタム化を進行してテトラミン酸を生成することを見いだした。また、今回得られた4種のテトラミン酸2量体(単量体から自発的に2量化)についてマウス白血細胞を用いて細胞毒性試験を行った結果、D-型のフェニルアラニンから誘導されたテトラミン酸2量体のみが細胞毒性活性を示すことを明らかにした。2.クルクミノイド合成酵素(CUS)のX線結晶構造解析に2.5Aの分解能で成功した。その結果、CUSの活性中心キャビティにはCUS活性を示すために必要な特異なポケットが存在すること、および触媒残基Cys近傍に求核的水分子が存在することを見いだし、結晶構造に基づいたCUSの触媒機構仮説を報告した。3.PKS1は、カルバモイル基を有する安息香酸とのCoAエステルとマロニルCoAから6-5-6縮合環構造を有する非天然型新規アルカロイドを生成する。今回、結晶構造解析と推定酵素反応中間体とのドッキングシミュレーションの結果に基づき変異導入を行った結果、開始基質に3分子のマロニルを縮合の後、シッフ塩基の形成を介して、酵素的にC-N結合形成と閉環反応が2回進行して生成した6-7-6縮合環構造を有する非天然型新規アルカロイドの創出に成功した。窒素原子を適切な位置に配置した開始基質を用いることにより、より複雑な骨格を有する非天然型アルカロイド骨格を創出できる可能性を示す結果である。さらなる酵素反応機構の解明と酵素触媒機能の拡張および非天然型アルカロイドの創出に取り組んでいきたい。
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