2009 Fiscal Year Annual Research Report
ツツジ属植物と菌根共生する菌類の種多様性とその維持機構の解明
Project/Area Number |
21710245
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
廣瀬 大 Nihon University, 薬学部, 助教 (20513922)
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Keywords | 菌類 / 生物多様性 / 環境 / 生態 / ツツジ / 菌根共生 / 分布 / 資源保全 |
Research Abstract |
菌根共生は植物と菌類との相利共生的関係として知られ、多くの陸上生態系においてほぼ普遍的にみられる生物間相互作用である。この関係は、生態系機能に関与する重要な生物間相互作用として認識されており、菌根共生菌の生態研究は現在世界的に精力的に行われている。しかし、菌根共生菌の種多様性にどのような規則性があるかについて生態学的アプローチから実証的に示した研究は殆どない。本研究では、ツツジ属植物と菌根共生するOidiodendron属をモデル材料とし、本邦の異なる気候帯や植生帯における種多様性の分布パターンを実証的に明らかにする。さらに、そのパターンの制限要因を、環境要因、系統学的要因や生理生態的特性、種間の競争関係の点から解明することを目指す。得られた結果から本属菌の種多様性の維持機構を考察し、資源保全に対する一指針を提供することが本研究の最終的な目的である。本年度は、林レベルの局所的スケールと本邦全域にわたる広域的スケールという異なる空間的スケールでの本属菌の種多様性の評価を行った。ツツジ根は北海道と沖縄を含む約10地域で採取し、実験室内で菌根共生菌を分離・培養することにより各地域の菌類相を明らかにした。その結果、本邦には少なくとも8種の既知種と14種の未記載種が分布していることが分かった。広域的スケールの調査からは、O.maiusのような広域分布種と、O.chlamydosporicumやO.griseumに代表される分布域に偏りのある種の存在が明らかになった。局所スケールの調査では、菌類相が周辺植生に影響を受けて変化している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)