2012 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア海草相の遺伝的構造に影響する生態及び海洋環境要因の解明と保全への適用
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21710248
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
田中 法生 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (10311143)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 海草 / コアマモ / タチアマモ / オオアマモ / スゲアマモ / 固有種 / 遺伝的構造 / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
コアマモZostera japonica(アマモ科)は、日本列島を中心にサハリンからベトナムまでに生育し、海草の中では最も広い生育温度域を持ち、葉などの形態変異も大きいため、種内分類群や生態型が示されることもあった。そこで、分布域全体からの60集団について、葉緑体DNA(psbA-trnH、trnL-F)と核DNA (phyB)の塩基配列を決定し、種内の遺伝的構造を解析した。さらに同集団1157個体についてマイクロサテライト7座を検出し集団遺伝学的解析を行った。その結果、ハプロタイプ解析では、葉緑体と核のいずれにおいても、本州中部地域から主に北に分布するハプロタイプ群と南に分布するハプロタイプ群が存在し、系統的に起源の異なる2つの系統群にあたることが明らかになった。系統的に姉妹種にあたりヨーロッパに分布するZostera noltiiは、コアマモの内群となることがわかり、遺伝的な変異も非常に小さいことがわかった。これにより、Z.noltiiは系統的にも遺伝的多様性の面でもコアマモの一部が長距離分散によってヨーロッパに定着したものである可能性が高いことが明らかになった。アジアのコアマモは、本州中部地域から北方に分布する系統群と南方に分布する系統群に分かれ、お互いの隔離は完全ではないが遺伝子流動は制限されていることがわかった。また、北アメリカ西岸に分布するコアマモは、宮城県の集団から移入したことが強く示された。 タチアマモ19地点、オオアマモ13地点、スゲアマモ22地点のサンプルに関して、葉緑体DNAと核DNAのシーケンスを決定し、地理的な遺伝的構造特性を明らかにしようとした。各種について4~7種類のハプロタイプが検出されたが、コアマモのような地域特性は検出できなかった。このことから、より変異速度の速いSSRなどを用いての解析が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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