2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト公民権運動期の米国における公共交通網の形成と異人種・階級間関係の変化の研究
Project/Area Number |
21710250
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
宮田 伊知郎 Saitama University, 教養学部, 准教授 (80451730)
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Keywords | アメリカ / 都市史 / アメリカ研究 / アメリカ南部 / 公共交通 |
Research Abstract |
当初はジョージア州でのリサーチを予定していたが、1)連邦議会関連の資料のほとんどがオンライン、あるいは、国立国会図書館で閲覧/複写可能であったこと、2)マイクロフィルム化を通してジョージア州から必要資料を入手することができるようになったことなどから、日本に身をおき資料収集・分析、そして執筆に従事した。その際、資料をデジタル化することによって、効率的に分析をすすめる環境を整えた。 本年度の研究においては、第二次世界大戦後のアトランタにおいて、どのように公共交通(快速電車網)案が構想されたのか、また、その実現のためにジョージア州選出の南部民主党白人上院議員・下院識員が、連邦政府補助金をいかに勝ち取っていったのか調べ、彼らの持つ「公共」概念がいかなるものであったのか明らかにした。公共交通は「大きな政府」の象徴として攻撃の的となったが、その案の実現に重要な役割を果たしたのがこうした保守的な議員であったことは、注目に値しよう。都市計画家の公共交通構想に関する研究については、一部を"Just es Important as Getting to the Moon" : The Emergence of the Ides of Public Transit in Atlanta, Georgia, 1952-1961"『埼玉大学紀要(教養学部)』にまとめ発表した。ジョージア州選出議員による補助金獲得への努力に関しては、現在公表を用意している最中である。これらに加え、どのように黒人住民や白人富裕層たちが賛成していったのか資料分析を進めたが、この作業は2010年度にも継続して行っていきたい。また、研究プロジェクトの全貌をアメリカ南部史研究会例会にて発表した(「アトランタにおける都市開発と『公共』概念の分裂、1952-1981」、共立女子大学神田ーツ橋キャンパス、2009年6月28日)。小規模ではあったが、貴重なフィードバックを得ることができた。
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