2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト公民権運動期の米国における公共交通網の形成と異人種・階級間関係の変化の研究
Project/Area Number |
21710250
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
宮田 伊知郎 埼玉大学, 教養学部, 准教授 (80451730)
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Keywords | アメリカ史 / 都市 / 人種差別 |
Research Abstract |
2010年12月にジョージア大学歴史学研究科に提出し受理された博士論文 "Setting Atlanta in Motion':The Making and Unmakhlg of Atlanta's' Public' Transit, 1952-1981" の一部公刊を目指し、歴史学研究会の『歴史学研究』888号に、「ポスト公民権運動期のジョージア州アトランタにおける公共交通網の形成と貧困の継承」を掲載した。「都市と貧困」について考察する特集の一部であったため、公民権運動を経験したジョージア州アトランタにおいて、現在までなぜアフリカ系アメリカ人に貧困が集中したままなのか、その理由をMARTA(アトランタ大都市圏快速交通公社)公共交通網計画の住民投票での承認過程を題材とし検討した。前年度までに入手していた未公刊史料を使用し、執筆にあたった。読者層がアメリカ史/アメリカ研究の専門家ではないので、アトランタ大都市圏において経済的格差がどう従来から残る人種差別と連動し進行したのか、そうした状況に対して「弱者」はどのように声を上げたのか、かれらの要求はどこまで聞き入れられ、どこが誰によってどう隠されていったのか、わかりやすく説明することを試みた。博士論文の成果の一部を、他分野の研究者と分かち合う形で公刊したことには意義があったと言える。 また、上記論文を含む博士論文の公刊のために必要な図書や機器の購入をすすめた。博士論文においては文書史料の分析を主としたが、そこでの成果を空間データに置き換え、より説得的に提示することを目指した。そのため画像処理ならびに地図作成、またそのプレゼンテーションに必要なハードウェア、ソフトウェアを購入し、その使用技術の習得に努めた。
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