2010 Fiscal Year Annual Research Report
二十世紀初めアメリカ合衆国の「家庭論」と移民女性-民族・人種関係を中心に
Project/Area Number |
21710251
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
野村 史織 中央大学, 法学部, 助教 (20512320)
|
Keywords | アメリカ史 / 人種 / 民族 / エスニシティ / 移民メディア / 日系移民 / 東欧系移民 / ジェンダー |
Research Abstract |
本研究の目的は、19世紀末から20世紀初めのアメリカ合衆国において、越境的で複雑な人種・エスニック関係の中、「家庭論」をめぐる言説形成や社会改革運動に、移民女性たちが主体・客体としてどう関わったのか分析することである。今年度は、移民メディアへの女性達の関わりや移民協会の会員の組織化と移民社会形成への動きを検討した。特に、当時のアジア系とヨーロッパ系移民集団のそれぞれの移民の社会・文化・政治・経済的状況を、より地域的・コミュニティーレベルで調査するために、日系移民とクロアチア系移民をそれぞれ取り上げた。日系移民に関しては、平成22年6月に日本移民学会と平成23年3月発行の『英語英米文学』で日系移民女性のメディア活動について発表し、移民新聞への短歌投稿を通じて、女性達がどのように覇権的な女性像の形成に関わり、また対抗的な声を上げたのかを検証した。東欧系移民の研究に関しては、平成22年9月の日本アメリカ史学会で発表をし、クロアチア系移民最大の民族組織であるクロアチア民族協会(Nardona hrvatska zajednica (NHZ)=the National Croatian Society (NCS))を取り上げ、1894年の設立から民族意識に基づいて政治活動を行うクロアチア同盟が1912年に成立するまでの協会の移民労働者の社会・経済互助組織としての組織化の過程を、越境的な民族意識とアメリカ市民という概念の形成という視点から分析した。
|
Research Products
(4 results)