2011 Fiscal Year Annual Research Report
二十世紀初めアメリカ合衆国の「家庭論」と移民女性-
Project/Area Number |
21710251
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
一政 史織 (野村 史織) 中央大学, 法学部, 准教授 (20512320)
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Keywords | 地域研究 / 北アメリカ / 移民 / ジェンダー / アメリカ史 |
Research Abstract |
本研究では、19世紀末から20世紀はじめのアメリカ合衆国において、越境的で複雑な人種・エスニック・民族意識がどのように構築されたのかを、特にジェンダーの視点から考察している。昨年度までの本研究では、「家庭論」をめぐる言説形成や社会改革運動に、移民女性たちが主体・客体としてどう関わっていったのかを分析した。今年度は、そうした「家庭論」や「家庭」をめぐる女性たちの組織的な運動の背景にある社会、政治、経済的文脈を検討した。 まず、昨年度の研究を発展させ、移民コミュニティの形成を、移民協会の会員の組織化に注目して、より詳しく検討した。東欧系移民集団の組織化についての研究は、論文「越境的な民族意識の形成とアメリカ合衆国への同化-クロアチア民族協会を中心に」として発表した。この論文は、山川出版から共著の論文集『戦間期東欧地域のコミュニティとネットワーク(仮題)』として2012年はじめに出版予定である。 つぎに、アメリカ合衆国の世論が、どのように移民たちをとらえ、表象していたのか、またその時にどのような「家庭論」が形成され、移民たち、そしてアメリカ社会にそうした家庭像が押し付けられていったのかを検討した。この時、特にカリフォルニア州の新聞メディアに注目し、ローカルな形で各移民集団へのイメージの付与がどのように行われたのかをケーススタディーとして取り上げることにした。現在、主要な新聞(San Francisco Chronicleなど)の調査を行っている。 調査結果は、今年度中に論文の形で発表する予定であったが、本年度の途中で産前産後休暇、育児休暇を取らせていただくことになったため、来年度に発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、妊娠・出産に伴い、産前・産後・育児期に必要な時間が必要だった。特に、産前休暇取得前の妊娠中の数か月は、切迫流産等で安静が必要であり、国内外での資料収集や、学会発表のための出張ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、主要な新聞(San Francisco Chronicleなど)の調査を行っているので、この作業を続行する。マイクロフィルムやデータベースの形で保存されている新聞資料を収集し、N-Vivoなどのソフトウエアを活用して、新聞の内容分析を進める予定である。 調査結果は、今年度中に論文の形で発表する予定であったが、本年度の途中で産前産後休暇、育児休暇を取らせていただくことになったため、来年度に発表する予定である。 特に、サンフランシスコをケーススタディーにして、移民を取り巻く社会状況と世論の形成をSan Francisco Chronicleを例にとって検討したいと考えている。分析内容は、平成23年度に日本移民学会の年次大会と『移民研究年報』や、アメリカ学会の『アメリカ研究』に発表する。
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[Journal Article] 山川出版2012
Author(s)
一政(野村)史織(柴宣弘, 他編)
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Journal Title
「越境的な民族意識の形成とアメリカ合衆国への同化-クロアチア民族協会を中心に」『戦間期東欧地域のコミュニティとネットワーク』
Volume: (掲載決定)(印刷中)(仮題)
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