2010 Fiscal Year Annual Research Report
自然災害と復興という生態学的・社会的変化へのメラネシア漁撈農耕社会の適応
Project/Area Number |
21710254
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古澤 拓郎 東京大学, 日本・アジアに関する教育研究ネットワーク, 特任准教授 (50422457)
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Keywords | 地震 / 津波 / 復興 / 人類生態学 / メラネシア / ソロモン諸島 / 感染症 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
ソロモン諸島では近代化の進展にともない、主な健康問題が、マラリアなどの感染症や低栄養状態から、肥満や糖尿病などの生活習慣病へと変わりつつある。近年続発した地震・津波という大きな災害は、漁撈農耕という生業基盤を破壊した一方で、援助や復興活動により近代化が進んだ可能性があり、健康への影響も多角的に評価する必要がある。前年度はギゾ沖地震(2007年4月)で深刻な被害を受けた地域で、2年経過後、都市近郊TI村では感染症と生活習慣病のリスクが高く、遠隔部で回復が遅れたTA村で感染症と低栄養が見られたが、村落部でも復興が進むと生活習慣病の弱いリスク傾向がみられるだけであった(M村)。 今年度は、レンドヴァ沖地震(2010年1月)に被災したBA村を加えた。ほかの村に比べて、成人と子供の低栄養状態が、やや多い傾向があった。感染症や生活習慣病については、突出した健康指標はなかった。また、ギゾ沖地震被災地では、前年度に引き続きTI村を調査したが、各指標の値は変化せず、問題が継続していた。新たに調査した農村のKI村では突出した指標はなかった。 これらの結果から、災害以外の環境的影響(都市化や自然環境)も無視できないが、援助物資などが届きにくい遠隔地域では、感染症や低栄養が多く見られたといえる。都市部の避難地では、都市生活による生活習慣病と、人口過密や衛生状態悪化によると思われる感染症がみられた。健康状態が比較的良い村落は、コミュニティの指導者が積極的に外部との交渉や、インフラ復旧のリーダーシップをとっており、復興も早いという共通点があった。
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[Journal Article] The serum leptin level and body mass index in Melanesian and Micronesian Solomon Islanders : Focus on genetic factors and urbanization2011
Author(s)
Furusawa T., Naka I., Yamauchi T., Natsuhara K., Kimura R., Nakazawa M., Ishida T., Nishida N., Eddie R., Ohtsuka R., Ohashi J.
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Journal Title
American Journal of Human Biology
Volume: (掲載確定)
Peer Reviewed
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