2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21710255
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
倉田 徹 Kanazawa University, 法学系, 准教授 (00507361)
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Keywords | 香港 / 民主化 / 中国 / 一国二制度 |
Research Abstract |
申請者は本年度、当初の計画通り、香港での文献調査を中心として研究を実行した。2009年8月に香港への出張を行い、香港大学図書館・香港中文大学中国研究服務中心などにおいて香港の民主化に関する最新の研究文献を収集するとともに、香港在勤のメディア関係者を中心に多数の者との意見交換を行った。 また、2009年6月の天安門事件20周年や、2009年11月の2012年立法会・行政長官選挙民主化に関する香港政府案の提示と諮問の開始という、香港の民主化の最新の動向について、香港で発行される新聞等の文献収集に務めた。 本研究は、(1)2007年の中国政府の決定により、2017年行政長官選挙・2020年立法会議員選挙の全面普通選挙化が認められ、全く新しい展開を見せている香港の民主化問題について、現状を説明できる理論枠組みを再構築することと、(2)香港の民主化が、急速な経済発展の中で、断固として社会主義の政治体制を維持している中国本国の政治に対して与える影響力を検証することを目標としているが、本年度の研究・分析を通じ、研究代表者は(1)の部分について、「香港の民主化そのものが、イギリス式のデモクラシーの移植から、西側諸国で実施されているようないわゆる民主主義とは異なる『中国的民主』の導入へと変質しているのではないか」という仮説を提起するに至った。 この仮説は、2009年10月に出版された研究代表者による単著『中国返還後の香港-「小さな冷戦」と一国二制度の展開-』(名古屋大学出版会)の第二章において紹介され、香港民主化研究の新たな学説を提起することができた。
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Research Products
(1 results)