2009 Fiscal Year Annual Research Report
インドのナショナルな大衆文化の系譜と演劇にみる地域的想像力の展開―ゴアの場合
Project/Area Number |
21710265
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
松川 恭子 Nara University, 社会学部, 准教授 (00379223)
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Keywords | 文化人類学 / インド・ゴア州 / 大衆演劇 / ティアトル / ネーション / 大衆文化 / 地域的想像力 |
Research Abstract |
本研究は、19世紀~現在のインドにおけるナショナルな大衆文化の系譜のなかに、西部インド・ゴア社会の大衆演劇ティアトルの発生と展開を位置づけ、新たな大衆文化と想像力の形が、地域社会の再編に果たしてきた役割を明らかにすることを目的とする。本年度は、平成21年9月(3週間)と平成22年3月(10日間)の2回にわたって現地調査を実施した。最初の調査では、まずムンバイで資料収集を実施した。マハーラーシュトラ州文書館を訪問し、資料を収集した。新聞の保存状況が悪く、1940年以降しか確認ができなかったものの、Times of India紙上で当時の演劇・映画産業について扱った記事を中心に閲覧した。ゴアでは、ティアトルを長年取材しているジャーナリストやゴア大学教員に聞き取り調査をし、ティアトル公演の歴史的背景に関する知見を得た。3月の現地調査では、1960~1980年代にかけてボンベイで活躍していたティアトル俳優・女優3名に聞き取り調査を行い、そのうち2名に対して、インタビューのビデオ撮影を実施した。聞き取り調査の中でわかったのは、ゴア人のボンベイ市長やボリウッドの映画プロデューサーがティアトル公演に関わっていたことである。1960年代は、ティアトルとコーンカニー語映画製作が密接に結びついていた時代で、"Amchem Noxib"(私たちの運、1963年)、"Nirmon"(運命、1966年)の2本の映画が製作され、多くのティアトル俳優が出演した。 現地調査と平行して、ボンベイの都市状況とインドにおける大衆文化の発展、特に近代演劇の発展史について、文献レビューを実施した。
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