2010 Fiscal Year Annual Research Report
インドのナショナルな大衆文化の系譜と演劇にみる地域的想像力の展開―ゴアの場合
Project/Area Number |
21710265
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
松川 恭子 奈良大学, 社会学部, 准教授 (00379223)
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Keywords | 文化人類学 / インド・ゴア州 / 大衆演劇 / ティアトル / ネーション / 大衆文化 / 地域的想像力 |
Research Abstract |
本研究は、19世紀~現在のインドにおけるナショナルな大衆文化の系譜のなかに、西部インド・ゴア社会の大衆演劇ティアトルの発生と展開を位置づけ、新たな大衆文化と想像力の形が、地域社会の再編に果たしてきた役割を明らかにすることを目的とする。 本年度は、平成22年8月~9月の2週間にわたってゴアで現地調査を実施した。今回の調査では、ティアトル俳優だけでなく、ティアトル脚本家およびティアトルの伴奏を担当するミュージシャンに聞き取り調査を行った。聞き取りにより、ティアトル公演が、俳優だけでなく、ミュージシャンや批評家のネットワークの中で成り立っていることが明らかになった。ボンベイ時代はあくまでアマチュアによる実践であったティアトルが、現在のゴアではローカルな産業として成立しているという変化を跡付けることができた。また、今回の調査では、ティアトル公演告知のためのチラシ(たとえばポルトガル時代に印刷されたポルトガル語のチラシや中東での公演告知のチラシ)の閲覧、出版されているティアトル脚本の収集を行った。前年度の調査に引き続き、ボンベイ時代のティアトル俳優のネットワークについて資料収集を行った。 現地調査と平行して、特に20世紀のインド映画及び映画関連音楽の歴史について文献レビューを実施した。また、南アジアの芸能全般の中にティアトルを位置づけるため、南アジア芸能を専門とする研究者たちとの研究会で意見交換を行った。
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