2009 Fiscal Year Annual Research Report
「性差医学・医療」の社会学:医学・医療実践における「性差や性別に関する知」の検討
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21710269
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中塚 朋子 Nara Women's University, 社会連携センター, 特任助教 (50457131)
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Keywords | 性差医療・医学 / エスノメソドロジー / ジェンダー / 薬害HIV問題 |
Research Abstract |
平成21年度は、データの収集・整理・分析を総合的視点から行うことを目的とした。 (1) まず、「性差医学・医療」の社会史を検討するにあたり、これまでの国内外の「性差医学・医療の取り組みや経緯を主に文献資料をもとに情報収集し、「性差医学・医療」の社会史のアウトラインをまとめる作業を進めた。 (2) 次に、「性差医学・医療」に関する実践(研究・臨床・教育)の分析として、関連する学会や研究会の報告書を資料として収集し、学会や研究会で報告される諸研究の整理を進めた。 (3) さらに、共同研究として取り組んでいる2つの研究グループでは、「性差医学・医療」のエスノメソドロジー研究として関連する次のような活動を行った。(1)共同研究「臨床教育のビデオエスノグラフィー」(代表:徳島大学樫田美雄准教授)において、医学部生による医療面接のグループ実習の教育場面を調査した。取り上げられたテーマは、「クラインフェルター症候群」と診断された患者への告知についてである。医学教育の場面における「性別に関する知」の産出や伝播といった観点からも興味深い現場であった。(2)共同研究「『薬害HIV』問題経験の社会学的研究-ナラティヴ・アプローチから-」(代表:産業医科大学種田博之講師)においては、非加熱製剤によるHIV感染をした患者への告知を経験した医師たちのインタビューデータの分析を行った。特に、小児科医師たちの語りに見られる特有の問題経験について明らかにした。これらは、臨床現場における現代的な課題を析出するにあたり、意義のあるデータといえる。
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