2011 Fiscal Year Annual Research Report
女性の職場・職業定着に対する適応と選択――新しい「つながり」の探索
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21710270
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Research Institution | Utsunomiya Kyowa University |
Principal Investigator |
松田 さおり 宇都宮共和大学, シティライフ学部, 専任講師 (40438742)
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Keywords | 就業継続 / 就業意欲 / キャリア / 「仲間」と「つながり」 |
Research Abstract |
本年度は、前年度までに行った文献調査と予備調査をふまえ、(1)女性従業者の就業形態とその状況、(2)女性従業者への就業継続への支援、(3)職場内外における女性どうしのつながりとの関係(個人の技術習得・就業意欲・キャリア形成等との関係)、の3つの項目を明らかにするために栃木県内および東京都内の22の企業・団体を訪問し、女性従業者、人事担当者、男女共同参画推進施策担当者などから聞き取りを行った。 その結果、現在までに次のことがわかった。第1に、女性をとりまく就労環境は厳しさを増しているものの、育児・介護に関しては育児・介護休業法施行に伴う企業側の休暇保障の導入等の諸対応と、時短勤務などの復職支援が定着しつつあり、女性従業者の長期就業に大きく寄与している。しかしながら中小規模の企業においては、人員の余裕のなさなどから対応が難しく、依然として就業継続を断念する事例がある。第2に、一般にパートタイマーなどの非正規の女性従業者は離職率が高いとされるが、長期的に就業する事例も少なからずあり、企業側も人件費抑制の点から積極的に採用・活用施策を講じている。しかしながら、そうした女性従業者の実態(人数・年齢・キャリア・家庭状況等)については把握しておらず、就業継続のための支援制度もほとんど整備されていない。第3に、企業規模および正規・非正規といった雇用形態の違いは女性の就業期間の長短と密接に関係しているが、そうした違いにかかわらず、職場内外の女性ロールモデルのありようが、女性個人の技術習得や就業意欲、就業期間に影響を与えている可能性がある。このようなロールモデルが果たす役割については未だ検討中のため、さらに整理分析をすすめ、最終年度の報告につなげる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査先の都合により調査の実施時期が当初の予定より半年ほど遅れ、中間的な成果報告ができなかったため。また前々年度に研究代表者が育児休暇を取得し1年ほど研究を中断したが、復職後も育児時間により本研究にかかる訪問調査時間に制限が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査結果を整理分析し必要に応じて追加調査を行うが、その成果についてできる限り随時コメントやアドバイスを受ける機会を持ち、口頭発表・論考・最終報告書などの形での公表につなげていく。
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