2009 Fiscal Year Annual Research Report
南インド農村のマイクロファイナンスと女性の政治意識に関する基礎研究
Project/Area Number |
21710272
|
Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
北川 将之 Kobe College, 文学部, 講師 (00365694)
|
Keywords | マイクロファイナンス / インド / ジェンダー / 調査法 / 政治意識 / 地方自治 |
Research Abstract |
本研究の目的は、自助意識が強いといわれるマイクロファイナンスの女性に焦点をあてて、南インド農村における貧困女性の政治意識をジェンダーの視点から理解するため、その実践的な調査方法を検討することにある。今年度は、新聞記事のサーベイを通して、「家庭内」における女性への暴力事件、「公的な場」である地方自治への参加に関する動向を追った。また、貧困女性の政治参加に関する先行研究のサーベイも行ったが、「公的な場」である村民集会への参加の様態を記録した調査報告書の数が少ないことが分かった。そこで、マイクロファイナンスの女性の行動様式に焦点をあてて調査データの再検討を行い、「マイクロファイナンスと陳情行動」の論文にまとめ、『女性学評論』に研究成果を発表した。2010年2月には、現地の女性自立支援団体のファシリテーターに聞き取り調査を行い、家庭内における女性の自立阻害要因を探った。この現地調査では、インド・バンガロール農村県アネッカル郡で行われているマイクロファイナンス活動の参与観察も実施した。定期集会の途中で、彼女たちは民謡を歌うことが頻繁にみられた。民謡の中には、家庭内のジェンダー問題(嫁姑、夫婦の人間関係など)を歌にしているものもあった。家庭内のジェンダー問題という「私的」な出来事が、マイクロファイナンスという「準公的」活動の中で、民謡という形をとりながらメンバー間で共有されていることがうかがえた。この調査結果は、マイクロファイナンスの女性の自助意識の形成過程を探る上で、理論的示唆を多く含むものであった。
|