2010 Fiscal Year Annual Research Report
南インド農村のマイクロファイナンスと女性の政治意識に関する基礎研究
Project/Area Number |
21710272
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
北川 将之 神戸女学院大学, 文学部, 講師 (00365694)
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Keywords | マイクロファイナンス / インド / ジェンダー / 調査法 / 政治意識 / 地方自治 |
Research Abstract |
この研究の目的は、南インド農村でマイクロファイナンス活動に従事している貧困女性を対象として、その政治意識のあり方を多角的に調査・検討することにある。本年度の研究内容としては、全国的な政治制度の変化を把握することに力点を置いた。2010年3月に連邦上院で可決された女性留保議席法案(連邦・州議会で女性留保議席を設定する法案)は、諸政党の政治的思惑の影響で、いまだに連邦下院議会で審議されていない。同法案に関する新聞雑誌記事をデータベース化して、論争の経緯を今後も継続調査する必要がある。また、2009年の連邦下院および州議会選挙では、大規模な選挙区改正が行われたが、その影響は十分に検討されていない。この前の連邦下院選挙では、会議派やインド人民党などの全国政党が議席を増やしたことから、選挙区改正で政党の組織力が問われたと推測される。この点については、編著『インド民主主義の発展と現実』の執筆を担当した章で論じた。2011年2月には、インド・バンガロールの社会科学研究所を訪問して、同研究員等とインドにおける女性の政治参加について意見交換を行った。1993年の憲法改正から約20年が経過したが、同憲法改正で地方議会に導入された女性の留保議席は、女性の政治参加にどのような影響を与えたのか、という大局的な視点からの議論が、現地の研究者の間でも活発に行われていた。本研究の目的であるインド貧困女性の政治意識の分析視角を考える上で、過去20年間の変化に着目する必要性を認識する機会となり大変有益であった。2月の現地農村調査では、マイクロファイナンスの定例集会における女性達の歌についてメンバーの意見を聞いた。集会で歌うことの意味としては、仲間意識の高揚という意見が多くみられた。
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