2011 Fiscal Year Annual Research Report
ルヌーヴィエの実践哲学の構造とフランス自由主義の哲学
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21720001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村松 正隆 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (70348168)
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Keywords | ルヌーヴィエ / フランス自由主義 / オーギュスト・コント / ジャン・ヴァール / 実証主義 / スピリチュアリスム |
Research Abstract |
2011年度の研究において、Renouvierの哲学史上の意義について、特にジャン・ヴァールとの比較において考察を行なった。アンチノミーの成立を理論理性の限界として捉えるカントとは異なり、ルヌーヴィエの哲学においては、無限を巡るアンチノミーがすべて否定されるわけだが(「有限主義」)、この立場がヴァールにおいては、実存範疇に関するアンチノミーの成立の拒否へと繋がっていることが明らかにされた。この姿勢は、ヴァールが師であるベルクソンから離反していく重要なポイントであり、ベルクソンの哲学の枠組みでは、「躊躇」「決意」といった実存的範疇が説明できない、というのが、ヴァールの考えである。これらの成果の一端は、2012年3月に公刊された北海道大学哲学会機関誌『哲学』に掲載された「ジャン・ヴァールの方法-その「相補性」を巡って」にまとめられている。 また、研究の最終的なとりまとめとして、フランス国立図書館にて、19世紀のフランス自由主義哲学関連文献を閲覧した。またこの滞在時には、パリ在住の研究者宮代康介氏(パリ大学哲学博士)と、トクヴィルがフランス自由仕儀に与えた影響、ならびに19世紀フランス自由主義についての現代の研究動向について教示を得た他、モンペリエ大学文学部准教授Vanessa Nurock氏と面談し、第三共和政期における連帯主義と現代の「ケアの倫理学」との類似性について示唆を受け、今後の共同研究に関して意見を交換した。
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Research Products
(3 results)