2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720013
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中 真生 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (00401159)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 身体 |
Research Abstract |
年度初めの研究実施計画に掲げていた通り、今年度は女性と身体についての倫理学的研究を主要なテーマとして研究を進めた。昨年度後半にユダヤ思想協会のシンポジウムにて、レヴィナス思想における「女性的なもの」について提題したが、今年度初めにはそれを推敲し直して論文にまとめた。さらにその内容をもとに昨夏には研究会で研究発表を行った。それらの考察と議論を経ることで、レヴィナス思想における「女性的なもの」の意義を明らかにするとともに、女性的なものを身体性、苦しみ、倫理的関係との関連の中で考察することで本研究課題全体の研究の中に有意味なかたちで位置づけることができた。またそれジェンダー研究との関連を意識しつつ行うことで、レヴィナス思想にとどまらない女性と身体についての倫理学的考察を行う足がかりをある程度築くことができた。 また、実践的研究の重要な一部を成す、生殖技術にかかわる研究に関しても、ジェンダー・女性・身体という観点に重点をおきつつ哲学・倫理学的に考察し、11月の哲学会大会のワークショップ「動物と生殖」において「生殖と他なるもの」という主題で提題を行った。さらに今年度初頭に行われた第4回東アジア応用倫理学・応用哲学国際会議での発表準備として、生殖技術のうちとくに出生前診断をめぐる問題に焦点をしぼって研究を進めた。この過程で、出生前診断やそれと関係の深い人工妊娠中絶をめぐって、女性やカップルがときに苦しみ葛藤する状況、またその中心に女性の身体がおかれている様を浮き彫りにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度初めに計画していた研究について、大部分において実際に遂行することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究でまだ十分に達成されていない以下の点に重点を置きつつ研究を進める。第一にジェンダー研究の視点からの哲学的考察、およびジェンダー研究と生殖技術研究を関連づける考察、第二に生殖技術に関する幅広い文献研究とそれに基づく哲学的考察や理論構築、第三に本研究に関するフィールドワークの実施に向けた具体的かつ詳細な企画である。
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