2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720019
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Research Institution | The Eastern Institute |
Principal Investigator |
北田 信 (財)東方研究会, 研究員 (60508513)
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Keywords | 新期インド・アーリア語 / 民族音楽 / ベンガル語 / 仏教タントラ / ネワール / インド・ネパール / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
2010年8~9月にはカトマンドゥと西ベンガル州、2011年2~3月にはカトマンドゥにおいて南アジアの口頭伝承の調査を行った。西ベンガル州ビボルダでは、パラ・キルトン、コトクという二つの伝統芸能を記録した。さらに中世ベンガル語の韻律が、現代の伝統芸能伝承者にどのように歌われるかを調査し、これをもとに、中世ベンガル語韻律の実情が詳細に分かった。カトマンドゥでのチャチャー歌の調査においては、今まで門外不出だった、金剛乗仏教の秘儀中の秘儀に関する秘曲を伝授してもらうことができた。また、ネパール・リサーチ・センターにおいて、ネワール語文学の権威カーシーナート・タモット氏にネワール写本解読の手ほどきを受け、3つの演劇写本を研究した。カトマンドゥにはマッラ王朝時代に14世紀以降、著されたベンガル語・ミティラー語の戯曲の写本が数多く残っている。ベンガル語文学において会話文を記録するようになるのは近代になってからだから、これらの戯曲写本は、ベンガル語会話文を記録した最初の文献と言え、ベンガル文学史にとり極めて大きな価値を持つ。今回研究した戯曲『マダーラサーハラナ』はサンスクリット語のプラーナ文献中に典拠があり、そのミティラー語翻案である。さらに、今日でもカトマンドゥ市南部のファルピン村で実際に演じられている、という興味深い例である。さらに、これらのネワールの伝統芸能は、同時代に作られた建造物や彫刻と密接に関わりがあるが、これらの建築・彫刻を調査した。パタン市南部のブンガマティ村は彫刻家の末裔たちが暮らす村であり、今でも村のいたるところに工房がある。ここにすむ彫刻家をインタビューした。
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Research Products
(5 results)