2010 Fiscal Year Annual Research Report
図形楽譜における音楽音響想起と音楽的スキーマのコレスポンデンス分析
Project/Area Number |
21720048
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小野 貴史 信州大学, 教育学部, 准教授 (10362089)
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Keywords | 音楽心理学 / 図形楽譜 / 分散分析 / 因子分析 / コレスポンデス分析 / 階層的クラスター解析 / 構造方程式モデリング / パワー・アナリシス |
Research Abstract |
本年度は、去年度にコンタルスキーや近藤譲、スミス、グリフィス等の図形楽譜に関する先行研究や文献、手法分析を元に作成された4種類の図形楽譜課題に対するアンケート回答におけるより詳細な統計解析データマイニングを行なった。具体的には、去年度分析手法として用いた因子分析、コレスポンデンス分析、ウォード法階層的クラスター解析に加えて分散分析におけるパワー・アナリシスと構造方程式モデリング(共分散構造分析)を導入し、数理的整合性を検証した。これは母集団によって数値化されたデータにおける有意水準にばらつきが生じたためである。コレスポンデンス分析は視覚され解釈が容易である反面パワー・アナリシス側面が欠如している欠点を有する。その欠点を補うためにもその数値の基盤となるパワー・アナリシスの重要性を再認識した。結果としては分散分析では整合性が得られたものの、構造方程式モデリングは各母集団のサンプリング数の関係で有意な結果が得られなかった。これらの結果は平成23年度の音楽音響芸術研究会2012年度研究大会で口頭発表する予定である。研究成果としては、音楽経験よりも現代音楽に関する聴取経験の豊富さが大きく類型に影響を及ぼすことは判明した。いかに読譜、演奏等音楽リテラシー能力に長けていても、図形から音響・音楽を認識する想像力には技術的経験はあまり作用せず、具体的音響を想起するよりも、音楽経験の少ない被験者集団に近似する結果が導き出せたことが大きな発見であった。 さらに本課題の派生型として図形楽譜による音響想起の実験的実践を兼ねて松代現代芸術フェスティヴァル〈サウンドアート〉部門で作品("Codex Matsushiro)の発表および演奏を行なった。
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Research Products
(5 results)