2009 Fiscal Year Annual Research Report
小劇場演劇の軌跡――状況劇場と演劇センター68/71の移動公演・メディア戦略
Project/Area Number |
21720056
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
梅山 いつき Waseda University, 演劇博物館, 助手 (50505401)
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Keywords | グラフィクス / 芸術諸学 / 日本文学 / 文化・社会意識 / 社会問題・社会運動 |
Research Abstract |
本研究は先行研究では単独で論じられることの多かった1960年代から70年代の小劇場演劇の興業形態、言語活動、身体表象それぞれの特徴を接続させ、小劇場演劇が何を改革すべく芸術運動を起こしたのかを総合的に考察することを目的としている。本年はひろく小劇場演劇に関する一次資料の収集と検証、および本研究の主たる調査対象である演劇センター68/71と状況劇場の地方公演に関する調査を行った。まず資料収集の面ではチラシ、機関紙・誌を収集し、演劇センター68/71の機関誌とポスターについて分析、拙論「『複製』と『所有』のはざまで:演劇センターの機関誌・ポスター分析」としてまとめた。演劇センター68/71は「運動としての演劇」というテーゼを掲げ活動を展開していたが、本論では先行研究ではなされなかった、集団理念について機関誌・ポスター、作品中の身体の表象との関連性からの検証を試みた。また本年は調査初年度ということで両劇団のみを対象とせず、小劇場演劇が俳優の身体性に依拠しながらもなぜ活発な言語活動も並行して行っていたのかを明らかにすべく、劇作家別役実の作品分析も行った。拙論「別役実『正午の伝説』分析:『我慢する身体』の表象をめぐって」では、先行研究では積極的になされてこなかった身体の観点から別役のあらたなドラマツルギーを読み解く作業を通して、別役だけでなく小劇場演劇全体において身体とはなんだったのかを明らかにする糸口とした。地方公演の調査としては、岡山にて当時演劇センター68/71と状況劇場の公演を地方窓口となって受入を担っていた関係者から聞き取り調査を行うことができた。他にも沖縄、北九州にて実際の上演場所の調査と当時を知る関係者からの聞き取り調査を行った。調査は次年度も継続し、全体像が明らかになったところで論文としてまとめる予定である。
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Research Products
(2 results)