2010 Fiscal Year Annual Research Report
小劇場演劇の軌跡――状況劇場と演劇センター68/71の移動公演・メディア戦略
Project/Area Number |
21720056
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
梅山 いつき 早稲田大学, 演劇博物館, 助手 (50505401)
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Keywords | グラフィクス / 芸術諸学 / 日本文学 / 文化・社会意識 / 社会問題・社会運動 |
Research Abstract |
最終年度にあたる本年は昨年に引き続き調査を行うとともに収集した上演関連資料の考証作業を中心に行った。考証作業にあたってはアメリカ・イリノイ大学を訪問し、同大学所属のデイヴィッド・グッドマン教授に面会した。グッドマン教授は演劇センター68/71の初期メンバーであると同時に、日本現代演劇研究者として唐十郎作品の英訳も手がけている方である。訪問期間中はグッドマン氏から二度の聞き取り調査に御協力いただく他、所蔵資料をご紹介いただき、移動公演というスタイルに対する見解や、劇団の制作体制についての証言を得ることができた。また聞き取り調査はこの他に、大阪の劇団・犯罪友の会主宰の武田一度氏に面会し、関西地方における演劇センター68/71と状況劇場のテント興行について当時地元の協力者をつとめていた者としての立場から語っていただいた。こうした調査を経て得られた研究結果は本年、論文・学会発表に加え、研究計画でも目標としていた演劇博物館における企画展示「広場をつくる・広場を動かす~日本の仮設劇場の半世紀展」を通じて発表することができた。本展示では図録も作成したため、より広く成果を発信することを可能にしたとともに、展示に先駆けて、イギリスにて開催された国際学会に参加し、調査の一部(移動公演という上演スタイルについて)を報告。海外の研究者に対しても成果を発信することができた。演劇センター68/71および劇団状況劇場の移動公演については、これまで両劇団がどのような理念の下で上演活動を行っていたのかは知られていたものの、実際の制作現場の状況がどうであったのかは明らかにされてこなかった。本研究ではそうしたこれまで明らかにされてこなかった制作現場の実体を聞き取り調査から明らかにした点に意義が認められ、広く社会に対して研究結果を発信することによって、60年代以降の日本の現代演劇研究の促進に貢献できたと言える。
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Research Products
(4 results)