2011 Fiscal Year Annual Research Report
『映画史』以降の地平からのジャン=リュック・ゴダール作品の再解釈の試み
Project/Area Number |
21720060
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
堀 潤之 関西大学, 文学部, 准教授 (80388412)
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Keywords | 映画研究 / ゴダール |
Research Abstract |
今年度の主な研究成果としては、ジャン=リュック・ゴダールをめぐる3本の論文を公表した。「イメージ、写真、社会主義-『ゴダール・ソシアリスム』をめぐって」では、ゴダールの最新作を頻出する「写真」のモチーフを軸に論じながら、彼がパレスチナにどのようなまなざしを投げかけているかについての考察を伏在させた。「運動家ゴダール-スポーツ、身体、メディア」は、ゴダール作品に頻出するボクシングやテニスといったスポーツのモチーフにとりわけ「運動」と「身体」の次元で着目し、その映画史的連関(とりわけ、ハリウッドのボクシング映画、およびジャック・タチとジェリー・ルイスとの絡み)やメディアとの関わりを論じたものである。「アラン・レネを見るゴダール-『ヒロシマ、モナムール』から『映画史』へ」は、若き日のゴダールがアラン・レネの『ヒロシマ、モナムール』(1959)に大きな衝撃を受けたと語っていることを手がかりに、レネの初期作品群がゴダールに対して、現実社会の悲劇的な出来事を高度な映画的手法でもって表象するための一つの強力なモデルを差し出したのではないかという仮説を提示し、それを検証しながら、ゴダールのキャリアにおいて『ヒロシマ、モナムール』から『映画史』へとつらなる一本の道筋を提示しつつ、映画芸術がどのように社会的事象を表象しうるのかをめぐる原理的な考察を伏在させた論文である。その他、2012年2月に紀伊國屋書店から発売された『ゴダール・ソシアリスム』のBlu-rayディスク封入のリーフレットに詳細な解説記事を寄せたほか、ハルン・ファロキ、クロード・ランズマン、ゴダールによる収容所の表象の3つのタイプを図式的に整理した発表「カタストロフへのまなざし-収容所の表象をめぐって」を行った。
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Research Products
(6 results)