2009 Fiscal Year Annual Research Report
二十世紀イタリア芸術における前衛と古典回帰とモダニズムに関する研究
Project/Area Number |
21720064
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Research Institution | The National Museum of Modern Art, Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 真弓 The National Museum of Modern Art, Tokyo, 企画課, 研究員 (60537330)
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Keywords | 芸術諸学 / イタリア美術 / 前衛 / 古典回帰 / モダニズム / ポスト印象派 |
Research Abstract |
研究代表者は、2009年9月にロンドンのテート・モダーン、ヴァールブルグ・インスティテュート、ヴェネツィア・現代アーカイブ他において、作品調査及び閲覧調査を行った。その内容は、デ・キリコやカッラ、ボッチョーニをはじめとする20世紀イタリアの画家の美術史的記述に関する調査研究、ヨーロッパの前衛美術の受容と批評に関する調査研究、未来派およびデ・キリコに関する作品調査・資料調査及び収集を主とする。また、2009年がマリネッティの「未来派宣言」」から100年を数えることから、欧米では展覧会、書籍や論文集の刊行が続いた。そのなかで、今年度は特に未来派や未来派をめぐる研究をめぐって、国内外の研究者やアーティストと意見交換をすることに努めた。 展覧会に関連する主な調査研究として、象徴主義絵画、ポスト印象派の時代の美術に関する研究を行った。特に、1910年に生まれた「ポスト印象派(英:Post-Impressionism)」という呼称に関して調査を行うなかで、テート・アーカイブ所蔵の、ロジャー・フライによるポスト印象派展の展覧会カタログ(1910年、1912年)を閲覧・複写し、出品作品・展覧会の組織内容なども把握することができた。日本におけるポスト印象派の受容、語の紹介に関する調査研究と併せて、その成果の一部は『オルセー美術館展2010「ポスト印象派」』(展覧会カタログ)に発表した。100年前に生まれた「ポスト印象派」の概念は、近年批判的に再検討されており、その語が誕生した当時の歴史的状況をあらためて明らかにし、これを広く発信することは重要意義を持つものと考える。また、この調査研究からは、前衛絵画の受容と批評の状況に関する理解を深める上でも、今年度の計画の一つである分析の枠組みの構築にあたっても、多くの示唆を得ることとなった。
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Research Products
(4 results)