2010 Fiscal Year Annual Research Report
江戸時代の養生論の現代的意義に関する研究-国学者の養生論における養生と教養の関係
Project/Area Number |
21720066
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
趙 菁 金沢大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (50345641)
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Keywords | 養生論 / 鈴木朖 / 養生要論 / 続養生要論 |
Research Abstract |
国内外において、江戸時代の儒者、蘭学者、医師の養生論については多数論じられているが、国学者の養生論に関する考察、さらには藩校教育と養生論のかかわりに関する研究は見当たらない。本研究は、総合的な養生論研究への方法論を提起するとともに、養生論研究の現代的意義を明確にするものである。養生論の最盛期は文化、文政、天保期で、江戸開幕以降、明治改元までに刊行された養生論はおよそ130篇と推定される。この130篇の養生論の中で現在入手、または閲覧できるものは70ぐらいといわれる。平成22年度において、(1)鈴木朖の「続養生要論」の翻刻に努めた。漢字のくずし方に独自の決まりがある朖の文章を活字にするには難しいところがあるが、現在は全文の翻刻を完成した。また『養生要論』の内容分析を行った(2)他の養生論と比較対照するために、江戸時代の養生に関するこれらの書物、そして当時及び現在に至るまでの関連文献・資料・研究論文の集中的・体系的収集を行った。その結果、主に以下の点について把握できた。(1)中国古代の養生思想およびそれが日本の養生論にもたらした影響(2)日本における養生論の最盛期の時代背景(3)江戸時代の養生論の特徴およびその変遷(4)江戸時代の都市文化としての養生論の役割(5)江戸時代の養生論と学問観・教育観の関連(6)養生論の著者の学問的背景、社会的背景、養生を論じる視点(7)江戸時代の庶民の生活観と健康観(8)養生書と貸本屋とのかかわり、金沢の貸本屋(3)論文の作成・投稿 平成22年度は『続養生要論』の前半の翻刻を『言語文化論叢』第15号に投稿した。
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Research Products
(1 results)