2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720067
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山本 亮介 Shinshu University, 教育学部, 准教授 (00339649)
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Keywords | 翻訳 / 出版メディア / 国際文化交流 |
Research Abstract |
本研究は、昭和戦前・戦中期における日本文学の英訳出版を取り上げ、現在へと続く<国際文化交流>の起源の一端を明らかにしようとするものである。具体的には、当時数多くの英語刊行物を送り出した書肆「北星堂」について、出版活動の実態を解明し、その同時代的位置づけを試みる。 当該年度は、複数の図書館を利用し、創立~1945年までの北星堂刊行物について調査を行った。なお調査対象には、同書肆刊行の日本語文献も含まれる。結果、200点を超える刊行物に直接当たり、それぞれについて、著者・翻訳者・内容・目次・序文・奥付などの諸情報を収集した。この資料調査によって、北星堂による昭和戦前期刊行物の大半を確認したことになる。これは、本研究の基礎資料となることはもちろん、戦前期日本における極めて特徴的な出版活動を取りまとめた作業として、意義あるものと考えられる。 収集した資料から、(1) 北星堂が出版活動の基軸としていた刊行物、(2) 時代背景の推移と英語(英訳)出版物の関係性、(3) 日本紹介を中心とする外国人著者の著作物の特徴、(4) 英訳出版に関与した翻訳者たちとその意識、などが明らかになってきた。また、本研究の主眼となる日本近代文学の英訳出版としては、夏目漱石、谷崎潤一郎、芥川龍之介、菊池寛らの翻訳作品や、同時代短編小説の翻訳アンソロジーなどの存在が判明した。なお、こうした文学作品の英訳は、北星堂における日本文化紹介の一環としての位置づけを有すると、現時点では考えている。 また当該年度は、上記研究と間接的に関わる論文(昭和戦前期の出版文化言説に関する考察)を発表した。
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Research Products
(1 results)